まったく早いもんである。
ついこの前、21世紀になったばかりだというのに、もう、二〇〇四年もいつの間にか終わりに近づき、今年最後の「格闘的日常生活」の原稿を書いている。
なんという早さであろうか。
というわけで、今年の極私的十大ニュースを書いておこう。
"私的"とは書いたけれども、必ずしもぼくの体験だけでなく、世界的な情勢やニュースも含めてのことになる。
(1)『沙門空海唐の国にて鬼と宴す』ついに完成。
足かけで、十八年かかって書き続けてきた空海の話が、ついに完成した。
長い連載であったわりには、つじつまがきちんと合っており、物語として実に凄いものになった。空海というキャラクターもよかった。
空海というのは、知る人ぞ知る、唐の都・長安まで出かけてゆき、密教をまるごと持ち帰ってきた、平安時代の僧である。
長安では、詩人白楽天と詩のやりとりをしたり、妖物たいじをしたりしながら、五〇年以上も昔の「楊貴妃事件」を解決したりと、日本人空海がおおいに活躍する話になっている。
とんでもなくおもしろい物語となった。
(2)今年の釣り、全て台風で駄目。
まったく、今年はなんと台風の多い年であったことか。これでもか、これでもかと日本に大型台風が上陸し、日本中で川が氾濫して、ほとんど釣りにならなかったのである。
それでも、台風などで、水が出た時だけできる釣り方などもあって、一度は、この台風のおかげで、鮎の大釣りをしたということもあったのだが、それにしても、これまで年平均二.六個のところ、九個は多すぎ。
(3)新潟に大地震。
今年は天変地異の年であった。空には台風、地には地震。
新潟の地震で大きな被害のあった十日町には、SFファンの友人が何人もいて、しばらく前まで、年に二度は出かけていた町であった。
幸いにも、この地震で、怪我をしたり、死んだりした友人はいなかったのだが、家が半分崩れて、たいへんな目に遭った友人はいるのである。
気をつけようと言ったってどうしようもないのだが、明日はぼくの住んでいる小田原が同じことになってるかもしれない。
とにかく、気をつけましょう。
(4)アメリカ大統領でブッシュ再選。
まったく、どういう国なのだ、アメリカは。
ブッシュという、とんでもない男が、また大統領になってしまった。アメリカの大統領しだいで、世界は平和にも、最悪にもなるというのに、アメリカ人は一番ひどい選択をしてしまったのではないか。
(5)ひどいぞ、北朝鮮。
なんという、おかしい国か、北朝鮮。
拉致問題そのものがとんでもないことであるというのに、横田めぐみさんの骨はやはりニセモノであった。つく嘘がなんとも幼稚で、気味が悪い。こういう嘘、どこかでよく聞いたよなあ、と思っていたら──
「記憶にありません」
日本の政治家がよく使っている嘘でした。
(6)書で日本を回る。
書はおもしろい。NHKの番組で、書家の岡本光平さんと知り合いになり、一緒に、一年間、日本中を旅行した。
旅をして、その旅の最後に宿で旅の印象を書にする。
『一枚の絵』という雑誌の連載の仕事であったのだが、なんとも楽しい仕事であった。
この連載をベースに、なんと書道展を開くことになってしまった。
場所は、銀座の風月堂にある「ギャラリー一枚の繪」。
期間は、二〇〇五年の一月五日から十七日まで。
ぼくと岡本さんの他、女優の戸田菜穂さんも作品を出展しており、友情出品で、絵師の天野喜孝さんも、書を出品している。
五日はたぶん、全員いると思うので、ぜひ見に来て下さい。
それから、なんと、これらの書、売ることになっているのであります。
(7)ノゲイラのスピニングチョーク
いやあ、たまげましたぜ。PRIDE.で、ノゲイラの出したスピニングチョーク。あのヒース・ヒーリング、横井がこの技でやられてしまった。
年末のヒョードル戦が楽しみである。
(8)北海道で、アメマスをわんさか。
ああ。今思い出しても、ときめいてしまうのであります。この秋、北海道で、五〇センチ、六〇センチのアメマスを、わんさか釣ってしまったのであります。また来年も行ってしまうのであります。
(9)落語の台本
このコラムでも今年書いたのだが、S・W・A(創作話芸アソシエーション)のために、ついに落語台本の連載を始めてしまったのであります。
その第一弾「史上最強の落語」を書きあげたばかりなのだが、これがおもしろい。
皆さんS・W・Aをよろしく。
(10)○○○○○○。
まだ、今年は二〇日以上も残っているので(原稿を書いている段階では)、何か凄いことがこれからあるかもしれないというので、(10)番目は、空白にしておきたい。
何かいいことがありますように。