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《第二十六回》K‐1を観にゆき世界平和について考えている |
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K‐1の決勝トーナメントを観に行ってきた。
佐竹正雅。
ピーター・アーツ。
マイク・ベルナルド。
フランシス・フィリヨ。
アーネスト・ホースト。
サム・グレコ。
アンディ・フグ。
レイ・セフォー。
この八名のトーナメントである。
優勝予想。
当然ながら、ぼくの大本命は、アーネスト・ホースト。
次がピーター・アーツ。
次が横並びで、マイク・ベルナルド、アンディ・フグであった。
これはK‐1を知るものならかなりまっとうな予想であり、おもしろみに欠けるものがある。
決勝がこれで、佐竹対サム・グレコにでもなるのなら、K‐1の盛りあがりは最高になるのだが、まさかそんなことにはならないであろうと考えていたのである。
アーツが佐竹に勝ったのは、予想通り。
ベルナルドがフィリヨに勝ったのもまず予想通りであり、アンディがレイ・セフォーに勝ったのも予想通りであった。
予想と違ったのが、サム・グレコ対アーネスト・ホースト戦であった。
サム・グレコの実力は並ならぬものがあり、グレコの強さは、相手が自分より弱い時には神がかり的になる。
しかし、相手が強いとなると、急に受けにまわって、めろめろになってしまうのが、サム・グレコでもあった。
一ラウンド目は、ぐいぐいと前に出てパンチをぶんまわしてゆくグレコにホーストは押されるであろう。しかし、これを一ラウンドホーストが凌ぎ、二ラウンドでグレコの動きを見切り、三ラウンドで、スタミナの切れたグレコに、ホーストがノックアウト勝ちと、こんな絵図面をぼくは描いていたのである。
ところが――
ホーストは、グレコの攻めをしのぎきれず、なんとグレコが大本命のホーストを押しのけて準決勝に勝ちあがってきたのである。
これだから、K‐1はおもしろいのである。
ピーター・アーツがベルナルドに勝ち、アンディ・フグがサム・グレコに勝ち、決勝はピーター・アーツ対アンディ・フグであった。
結果は、一ラウンドでアーツのKO勝ち。
きれいなハイ・キックがアンディにヒットして、そのままアンディはマットに沈んでしまったのである。いやあ、アーツの強いこと強いこと。
一時、アーツは元気がなく、負けることも多かったが、負けを知ってその中から復活してきたアーツは、以前よりひとまわりは大きくなって帰ってきたような気がする。
初回の佐竹戦で、ほとんどノン・ダメージで二回戦に勝ちあがってきたアーツが、フィリヨのいいローを何発ももらっていたベルナルドや、セフォーといい試合をやり、サム・グレコとフルラウンドほとんど互角に近い闘いをやってきたアンディに比べ、ずっと有利であったのは否めないが、それにしてもアーツは強かった。
またこの顔ぶれかとも思うのだが、彼らが実際強いのだからしかたがない。
しかし、そろそろ、アーツ、アンディ、ホースト、ベルナルド、この四強の外人をおびやかす新人が現れてもいい頃なのではないか。
これは、次回のK‐1を期待しよう。
ここでいよいよこんど出かけてゆくトルコの話でもしようと思っていたのだが、いきなり、またアメリカとイギリスが、イラクに向かってミサイルを打ち込むという事件――というよりは戦争が始まってしまったのである。しかも、トルコからもアメリカの爆撃機が発進している。
これを戦争と言っていいのかどうかわからないが(つまり一方が一方を攻撃するばかりの戦いを戦争と呼べるかどうかということなのだが)、なんだか、タイミングとしては、妙なものがある。
クリントン大統領が、女の問題で、審議会で弾劾裁判にかけられようという半日前のことだったからである。
国連の査察をごまかし続けたフセインには、なんらかのかたちでのペナルティは必要だと思うのだが、国連がまだ結論を出していないうちに、クリントンがミサイルのボタンを押して(実際は違うけど)しまったのである。
アメリカよ、なさけないぞ。
だいたい、これは、女の問題である。
文句を言う権利があるのは、クリントンのカミさんであり、それを当事者でない共和党の連中が騒ぎたてるなど、少しやりすぎではないか。
政治のことでなく、女のことでいつまでも騒ぎたてるのは、共和党よ、あまりにも貧しかないか。政治家は、きちんと政治をやっているかどうかで判断されるべきであり、クリントンに、カミさんに内緒の女が何人いようと、それは当事者のプライベートな問題である。
そのようにアメリカ国民は答を出したのではなかったか。
これでこの騒ぎもおさまりかけたかと思っていたのに、弾劾裁判が始まりそうになってしまった。これは、なんとも寒い話であり、それにびびって、イラクにミサイル攻撃してしまうクリントンもおおいにおかしい。
しかし、イラク空爆が始まったことで、弾劾裁判も伸びるかと思っていたのだが、またもや、共和党が、戦争中だというのに、クリントンの弾劾裁判をやろうとしているのである。
これは異常である。
クリントンも共和党もみっともない。
どちらも頭上にふりかざしているのは正義であるというのが困ったものだ。こんな連中に正義などふりかざしてもらいたくないね、このおれは。
アメリカは、もはやどうしようもなく病んでいる。
アルティメット大会のいじめかたもひどかったが、今度はもっとひどい。
こんな異常な国が、世界で一番兵器を持っているというのがなんともおそろしい。
アメリカよ、おまえんとこは核いっぱい持っておいて、他の国に持つなと言うのは、筋通らない、おかしいぞ。
おかしいけれども、核を他の国が持たないようになるのなら、アメリカの“核持つな”のスローガンには賛成してやるしかないのだが、どっか変だなあ。
「おい、馬場よ。おれは、コブラ・ツイストも、アリ・キックも出すけど、オマエは、十六文使うなよ。ランニング・ネックブリーカー・ドロップもだめだぞ」
こんなこと猪木が言い出したら(ま、言うわけないと思うが)、これまで猪木が築きあげてきたもの全てが崩壊してしまうのではないか。
北朝鮮の潜水艇が韓国で見つかって、沈められたっていう話も飛び込んできた。
いよいよ、一九九九年だ。
ノストラダムスの予言で言えば、アンゴルモアの大王が空からふって来る年である。
あんな予言なんか、ぼくは信じちゃいないけど、おいおい、あんな予言を事実にするような方向へは行かないでくれよな。
というところで、今は、大道塾北斗旗の無差別級の大会に来ているのである。
カゼをひいてめろめろになりながら、たどりついたら、もうベストエイトである。
今回は外人の参加は(コノネンコを別にすれば)なしで開かれたものであり、セーム・シュルトのいない状態で、日本一は誰かを決める大会である。
そのはずであったのだが優勝は、決勝で稲垣をやぶったコノネンコとなった。これで北斗旗無差別は三年連続して外人選手がもっていってしまったことになる。
日本人、がんばれ。
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